東海道の歩き方

・私の場合は東海道のすべての道を歩き通せた訳ではないので、正確には、「東海道宿場の通り方」と云う表現が正しい。全行程を歩こうとする方にはあまり参考とならない事をお断りしておく。

・私が何故東海道を歩こうと思ったのか。理由は2つある。

・ひとつは江戸と云う時代が好きなのである。東海道の宿場が整備されたのは、徳川家康の時代からであり、電気もクルマも無い時代に、庶民の移動手段は歩くことのみ。その中で弥次喜多の様な物見遊山やお伊勢参り、はたまた殿様の転封での一族郎党の引越しなど、数多の人々がこの東海道を歩いたのだと思う。

・記録によれば、日本橋から京都までの約500キロの所要日数は凡そ15日程度であると云う。足元は草鞋か雪駄で、雨でも降れば泥道である。そんな環境を一日平均30キロ以上歩いたのである。それも毎日である。この驚異的な出来事を自分の足で試して見たいと思ったのである。

・もうひとつは、私が東海道五十三次の存在を知ったのは、小学生の時分に永谷園のお茶漬けのりに入っている五十三次のカードを見た時であり、そのカードの中に富士山が大きく描かれているものがあり、また修学旅行の新幹線の車窓から見た雄大な富士山を見た時に、いつか東海道から富士山を眺めて見たい、と思ったのである。

原
・今思えば、この風景だったかも知れない。(静岡県原宿)

・この計画に取り掛かったのが7月。6月に仕事を放り出した私は、晴れて365連休となり時間はいくらでもある、本州の台風が去り真夏の日差しが弱まる秋がベストと考えて、スタートを10月の20日以降に設定した。

・まず、最初に行ったのはホテルの手配である。ネット上の予約なので大体は2ヶ月程前からの予約となったが、航空便の早割りよろしく、大概のホテルは早めの予約をすると通常価格より割安に予約出来ることが多い。因みに今回17泊の平均宿泊費は1日6,400円であった。

・古の旅人は一日十里(40キロ)を歩いたのだそうである。そこまで出来なくとも30キロ位ならなんとかなるだろう、と甘い考えで街道を30キロ位にざっくりと分けて、そこから近い宿場のホテルを予約したのであるが、これが、間違いの元。結局全行程を歩けなくなるのである。予約は一箇所(由井)を除きすべて楽天トラベルで行った。

・10/23:保土ヶ谷(横浜市):以下一泊毎→平塚→箱根→沼津→由井→府中(静岡市)→島田→袋井→浜松→白須賀→岡崎→宮→桑名→石薬師→亀山→水口→11/7:草津

・その後、10月に入ってから、ウォーキングの予行演習を行うこととした。私は小樽在住で隣町の札幌までの距離は38キロ。丁度十里前後なのである。ここをどの程度まで歩けるか試して見たのである。

・予行演習は実戦と同様に行う必要があるので、数日分の着替え、雨具、パソコン、カメラ、その他携行品で登山ザックに10kg程度の荷物を背負って行った。

・小樽を出発して12キロ位の銭函までは快調に歩けたのだが、20キロ位の星置(小樽と札幌の境目)辺りで足首に痛みが出てきたのである。結局、手稲本町(26キロ辺り)で歩くことが出来なくなってしまい途中リタイア。この足首の痛みは、ゴルフをキャンセルするほどで、痛みが取れるまで10日以上を要することとなった。

・この予行演習で、自分には重い荷物を背負って30キロなど到底歩けないことが判った。もし、この予行を行わずいきなり本番スタートしていたら、2日目辺りで足に痛みが出て、翌日は歩けなくなり、予定をキャンセルして引き返すことになっていただろうと思う。

・そこでスケジュールの変更も考えてみたのだが、既に飛行機の予約も入っており、街道の分割を20キロ程度にすることも考えたのだが、それでは最低でも24泊は必要で、ホテルの予約が取れない場合も考えられるので、このまま強行することにしたのである。

・荷物を背負って歩き通す、と云う無謀な計画を変更して、荷物は最低限にして1日15キロ位を目処にする。(連泊で京都まで行くのが目的なので、歩けなくなってリタイアしては元も子も無いからである。)残りの距離はバス・電車等の交通機関を利用する事にしたのである。

・荷物を軽くする方法として、私の場合は翌日のホテルまで午前中に行ってザックを預けるか、ホテルが駅から遠い場合はコインロッカー(設置していない駅もあるので注意)に預けて、手荷物は地図、カメラ、タブレットPC、水のペットボトル、雨具、財布などで、それでも2キロ位になったが、遥かに歩きやすかった。

・ホテル・駅が街道から近い場合は戻るのも効率が悪いので、街道を反対方向に歩く逆打ちをすることも数回行った。

・結局、17日間の行程で万歩計の総合計は424万歩程。私の身長から計算する歩幅が約70センチ。距離にして297キロになる、これには駅周辺を歩いたり、史跡を見るために街道からそれたり、ホテルまで歩く等も含まれるので、概算で270キロ程度。全行程495キロの半分以上は歩けたのかと思う。(日本橋から京都までの内容は10月28日以降のブログを参照願いたい。)

・ここで、私が歩いてみて気がついた点などをまとめようと思う。

「携行品」:連泊して歩く場合

●バッグ

・私は大きなザックから最小限の荷物を入れるために2L位のウェストポーチを身に着けて歩いたのであるが、大きめのコンデジを入れていたので、数キロ歩くと腰に負担が掛かってしまった。そこで肩から斜めに吊るすことのできるショルダーバッグ(ボディバッグ)に変更した。これは快適であった。

・大抵の人は小さめのデイパックで歩いているが、荷物を担ぐには負担が掛からなくて良いのであるが、使い勝手の点からは不便である。荷物を取り出すのに一旦肩から降ろさなければならないし、初心者の私は、地図を見たり、カメラを取り出したりと頻繁にバッグ使ったので、降ろさずに体の前に持ってこれるショルダーバッグがベストだと思う。

●着替え等

・私の場合5日分を持っていったのであるが多すぎた。ほとんどのホテルにコインランドリーが設置されていたので即日の選択が可能。最悪の場合、洗面台で洗ってドライヤーで乾かす、と云う手もある。どうしても乾かない場合は、バッグに洗濯バサミでぶら下げる、と云う方法もあるかと思うが、さすがにそこまでしなくても済んだ。なお、街道筋でコインランドリーを見かけたのは四日市辺りで一軒のみであった。

・尚、古の旅人も洗濯物には苦労したようで、二人連れなどの場合、麻縄を交互に持って張り、そこにぶら下げて歩いたそうである。

・上着・靴下などは綿100%のものは避けた方が良い。汗をかくと乾きにくい。靴下も汗で濡れてくると足との摩擦が大きくなりマメが出来やすいのではないかと思う。ポリエステルかアクリル混紡のものが良いと思う。下着まで濡れてしまうことは少ないのでこれは綿製品でも良いかと思う。

●雨具

・これは必須である。傘を推奨している方もいるが、風があると使えないし、交通量の多い狭い道路では見通しが悪くなり危険である。また、道を知らない初心者にとって地図を見るのに片手が塞がるのは不便この上ない。ビニール性のものは不可。登山用の透湿性の良いものを選ぶこと。寒いときの防寒対策にもなる。

・レインウェアのフードを被る場合、帽子を着用すべきである。帽子はハットではなく、ツバ付のキャップの方が良い。帽子が無いとフードから雨が滴って顔が濡れてしまい不快である。

●地図

・初心者には必須である。これがなければ歩くことが出来ない。町の観光案内所で配布している場合もあるが、すべての宿場町に観光案内所は無い。因みに私が携行した地図はこれ。

P1500337.jpg
八木牧夫著 山と渓谷社刊 @1,620円
東西の二分冊になっており、コンパクトで非常に使いやすかった。

●靴

・靴の選択は最も重要。私自身ウォーキングシューズの知識がなかったので、歩いている人の評価が最も高いものを選択した。

・月星(MOONSTAR)のワールドマーチである。決して高い製品ではないが、履き慣らしをせずにスタートしたが、違和感なく快適に歩くことが出来た。

・靴の大きさは諸説あるが、私は実測25.5センチの足に27センチを選んだ。大き目の靴を選んだ理由は、長時間歩くと血流が下に行き足はむくんでくる。同時に足指が靴の中で自由に動かせないと歩きづらいからである。

P1500335.jpg
お値段は1万円ちょっと。防水仕様ではないので雨降りの中、数時間歩くと中まで濡れてしまう欠点はある。

なお、平地を歩くウォーキングに登山靴は不向きである。頑丈でソールもしっかりしているので、登山靴の方が適している様に思われるが、逆である。山道と舗装路は全くの別物である。

●カメラ

・私は富士山の綺麗な写真を撮りたくて、少し大きめのネオ一眼のみを持って行ったのだが、重くてバッグからの出し入れにも手間取り難儀した。写真にこだわる方は一眼とコンデジを持ち、自分の撮りたい場所では一眼、それ以外は小型のコンデジを使う等の方法が良いかと思う。

●スマホあるいはタブレットPC

・これは道に迷ったとき自分の位置を確認出来るほか、最寄の駅、公共施設への距離や道順を探すアプリケーションなどもあり便利なアイテムである。Wi-Fiタブレットの場合、電波が届かない地域もあるのでスマホの方が軽くて使い勝手が良いかもしれない。

●安全ピン、バンドエイド(絆創膏)、消毒液、ワセリンなど。

・これは足マメ対策である。足マメが出来るとほぼ歩けなくなる。足マメが出来たら早めにホテルに入って水を抜き消毒をして乾燥させることである。翌日はバンドエイドを巻いて歩く。水を抜くのに針が良いと云う方もいるが、針だと細くて水を抜きにくい。小型の安全ピンだと割と太いので水を抜きやすい。(使う際はライターかマッチでピン先の消毒をすること)

・ワセリンは足と靴下、足指同士の摩擦を緩和させるために使用する。ワセリンのチューブ様のものが無かったので、私は「馬油(マーユ)」を携行した。当日歩き始める前にたっぷりと足に刷り込むと良い。ボルダースポーツなる専用クリームも市販されている。

●蛍光グッズ

・夜間、トンネル対策としてあった方が良い。旧東海道は国道を除くと、狭くて歩道のない道路がほとんどで交通量の多いところもある。交通事故対策としてドライバーに自分を認識させる道具があると便利。幸い、私の歩いた所にはトンネル(車の通る)もなく、夜歩くこともなかったので使用することは無かった。

P1500334.jpg
電池内臓で点灯・点滅する。腕や足に巻きつけて使用する・

「その他の注意点」

●歩くときの注意

・旧東海道の道を探す場合、近くの駅やホテルの場所によっては地図で簡単に判る場合もあるが、判らない場合はホテルのフロントに聞くと、大体は教えてくれた。ホテルによっては周辺の詳細な地図を用意している所もありそれを活用するのも良い。

・ホテルで判らない場合は、地図を見せて大体の方向を教えて貰うと良い。後は歩きながら地域の方に道聞きをする。この場合はお年寄りに聞くのが一番。昔から住んでいるので大体知っている。警察の交番は確実だが、大きな町や駅周辺以外では沿道にはほとんど無い。

・歩く際は、常に地図で方向や沿道の目標物(お寺・史跡など)を確認しながら歩く。宿場の方向を示す標識はそれほど設置されていないし交差点・分岐は意外なほど多い。迷った場合は一旦元の道に戻る事をお勧めする。

・旧東海道には、ほとんど歩道が無い。歩行者の横を車が通り過ぎて行くのであるが、私は反対車線を歩くことにしていた。不測の事態が起きたとき、前から来る車にはある程度対応出来るが、後ろからは全くの無防備である。

●水、トイレ対策

・飲み水は常に携行すること。私が歩いた10月の下旬以降はそれほど暑くない時期ではあるが、それでも気温が26度になるような日もあり、汗ばむと云うより汗だくであった。

・水は飲むがガブ飲みしないことである。その後のトイレが問題となるからである。トイレが使えるコンビニやスーパーは旧街道には非常に少ない。休憩所のある宿場もそれほど多くないので、コンビニや休憩所を見かけたらこまめに利用すること。

●緊急時対策

・交通事故などは別として、これ以上歩けない、と云うような場合、ホテルに戻るための最寄りの駅がどのあたりにあるのか、地図で確認しておくことが肝要。街道沿いにバス停を見かけることがあったら、そのバスの行き先と時間帯を確認しておくこと。尚、バス停はあっても片側車線にしか無い場合もあるので注意が必要。(町の中心部に行く為のバス停は街道沿いではなく、近くの幹線に設置されている事が多い。)

「まとめ」

・今回、東海道を歩いてみて判ったことは、歩いている人がほとんど居ない、ということである。(平日が多かったと云うことも影響しているかも知れないが。)街道として一番メジャーな東海道だから、もっとウォーキングをしている人達が居るかと思っていたら、豈らんや箱根や関宿のような観光地を除けば、私が歩いた部分ではほとんど私一人であった。(ある意味快適ではあったけれど。)

・因みに、旧東海道はバイク・車での通行は出来ないところがあるので不可。自転車は可能だが、階段を上ったり山道に入る際には自転車を担ぐ必要がある。国道・県道を迂回して旧道に戻ることも出来るが、自転車は軽車両であり、歩行者と違って右側通行ができないので、歩行より危険ではないかと思う。

・18日間で、街道を歩いている様な雰囲気の方とすれ違ったのはたったの5人。そのうち立ち話をした方が二人と云う具合である。

・立ち話をした方のお一人は東海道を全行程歩いた経験の持ち主。どうやって歩いたのか聞いてみると、「日帰り」なのである。その方は名古屋近在の方で、休日を利用して宿場まで行って日帰り。また休日を利用して次の宿場を歩いて日帰り。これを繰り返すのである。

・土日を使って数ヶ月掛ければ出来ることなのであるが、北海道に住む私には、日帰りの芸当は不可能では無いが、ゼニがいくらあっても足りないのである。通しで歩こうとすれば、街道を20キロ程度に区切って、25泊位で行えば可能かも知れない。

・私は道々歩きながら、古の旅人はどうやって歩いていたのか考えていた。宿場を過ぎれば人家は途絶え、たまに農家などはあっても後は人気の無い野原や山の中の一本道を歩くだけである。追剥ぎや盗賊の被害に遭遇したこともあったろうと思う。止む無く夜に歩く場合は、その危険は殊更増したことだと思う。

・道を歩いていると、小さな祠や地蔵尊が多いことに気が付く。これは、途中で行き倒れた旅人を供養したものではないかと思われる。東海道の旅とは、弥次喜多の様な面白可笑しいものではなく、危険で苦難の旅ではなかったのかと思う。

・街道筋は、大都市に近接した宿場を除けば時間が止まったかの様な場所もある。その集落に住んでいるのは、ほとんどがお年寄りであり、そこに若い世代が増えてくる様には思えない。今後数十年で、その集落が消えてしまう可能性もあり、連綿と受け継がれてきたこの旧東海道の文化が途絶えてしまわないことを願うばかりである。

・今回は秋を選択したが、桜の咲き誇る春なら素晴らしい景色が堪能出来たことと思う。

コメント

Secret

No title

 充電器類はどうしましたか。パソコン、デジカメ、ケータイと異なる充電器はかなりがさばるとは思うのですが・・・

Re: No title

>  充電器類はどうしましたか。パソコン、デジカメ、ケータイと異なる充電器はかなりがさばるとは思うのですが・・・

充電器は3種類でした。おかげでかさばりました。前日のホテルで満充電にするのですが、スマホは1日使うとギリギリでした。

No title

偉業達成万歳万歳万歳♪
 S支部長が泣きそうになって足マメに針をチクチク刺していた姿を思うと涙が出そうに成りました・・♪
 『 
   今日からは
   小樽のヒトよ
   楽に寝よ♪  
 』
 
 お疲れさまでした!
  

Re: No title

> 偉業達成万歳万歳万歳♪
>  S支部長が泣きそうになって足マメに針をチクチク刺していた姿を思うと涙が出そうに成りました・・♪
>  『 
>    今日からは
>    小樽のヒトよ
>    楽に寝よ♪  
>  』
>  F支部長 絶大なる応援ありがとうございました。来年は桜の時期に熊野古道でも歩きましょう。暖かい所は良いですね、真夏以外は。
>  お疲れさまでした!
>   

No title

 熊野古道、イイデスネ♪
 私も心の準備をします♪ 
 次回は、私も行きたいです♪
 
プロフィール

harimao8823

Author:harimao8823
どーと云うこともない日常とほんの少しの非日常を綴るぐーたらブログ。

カレンダー
01 | 2018/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 - - -
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR