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蜜柑の思い出

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今年も蜜柑の季節がやってきた、と云う表現は昨今のモノで溢れた時代にはそぐわないような気がする。

確かに、スーパーでは季節感に応じた野菜や果物が並ぶのではあるが、この蜜柑なんぞも求めようと思えば、銀座辺りの果物専門店かネット通販などでいつでも手に入るのではなかろうか。

この蜜柑。昭和40年代辺りまでは庶民には正月間近でなければ手に入らないモノであった。

年の瀬も押し迫った頃に、家の中には蜜柑の木箱が積まれるのである。

木箱に荒縄をかけた蜜柑箱には優とか秀の焼印が押してあって、開けると上に産地が書いたビニールが一枚乗っていてその下にびっしりと蜜柑が並んでいる。

この写真のように雑多にゴロゴロと入っているのではなく、整然と並んで入れられているのである。

その橙の輝きは、今まさに一年が過ぎようとしていることを伝えるサインでもあった。

当時は冷蔵庫などと云う便利なモノは無かったけれど、当時の北海道の住宅は、火の気のない縁側などは十分寒かった訳で保存に都合は良かったとは云え、食べられる期間はせいぜい2〜3週間程度。

傷まないうちにせっせと食べるのであるが、人間贅沢なもので、これが毎日となると有り難みは徐々に薄れ、年末に運ばれて来た時の欣喜雀躍した気分もどこ吹く風。

終いには、「あんまり食べると体が黄色くなるぞ」なんて云い出す始末。

あの木箱を作るのも荒縄を掛けるのも蜜柑を整然と並べるのも、恐らく手作業だったのではなかろうか。

昭和40年代の後半頃までは、各家庭では、年末になるとお米屋さんに賃餅を頼み、蜜柑をまとめて買っていたと思う。

その時期で無ければ食べられないモノの風物詩でもあった。

ほとんどのモノが季節を問わずいつでも食べられる時代。

積まれた木箱に小躍りし、出来立ての粉を吹いた真っ白な餅に正月が見えてワクワクする子供はもう居ないのだろうか。

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どーと云うこともない日常とほんの少しの非日常を綴るぐーたらブログ。

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